令和6年度事業報告
Ⅰ サービス等利用計画について
【利用者数】
16名(新規6名、更新9名、変更1名)
【活動評価】
人口減少が進むこの地域のなか限られた福祉資源の中でも、障害のある方が地域で孤立することなく安心して暮らせるよう、多機関との連携を図りながら支援を継続してきました。
今年度も、新規利用者には本人からの申請に加え、地域包括支援センターやB型事業所等、他機関からの紹介によるケースが見られ、地域全体で支援ニーズを掘り起こし繋いでいく意識が感じられ心強く感じています。また、家族の支援が見込めない単身障害者や、日中活動の場だけでは不安が解消されない方々への対応として、モニタリング以外の訪問や電話支援、利用事業所への訪問も柔軟に行い、状況に即した支援体制を構築してきました。
複雑な家族背景を抱えた世帯や、複数の障害当事者がいる家庭、経済的困難を伴うケース、地域外への転出支援、卒後の就労移行支援、障害年金申請など、個別性の高い支援が求められる状況も多く、事業所としての対応領域は年々広がっています。
さらに、在宅で福祉サービスにつながっていない方々やその可能性のある方への継続的なアプローチ、民生委員との協働による生活困窮世帯への食糧支援の仲介、留萌圏域地域生活移行支援協議会(留萌圏域地域生活支援センター)と連携したピアサポーター交流会の開催支援など、支援対象の広がりとともに、地域の人的ネットワークづくりにも努めてきました。このような現場の積み重ねを通じ、次のような展望を描いています。
生活困窮・障害・高齢といった分野横断的な支援が必要なケースが増加していることから、自立支援協議会等を活用し、重層的支援体制整備事業やにも包括など、包括的支援体制の構築に向けた実態把握と提言を進めたいと思っています。
引きこもりや制度利用に結びついていない障害者への訪問・関係性づくりを今後も継続。行政や地域団体と協働し、支援につながる接点づくりを模索し「福祉サービス外」にいる人への支援を継続します。
既存の制度資源に限らず、学校、民間団体、住民なども含めた地域全体を「支援の担い手」として再認識し、行政や協力関係にある支援者にはそれぞれの立場で役割を担える仕組みを共に考えて欲しいと願っています。また「自分ごと」として障害や福祉を捉えてもらえるよう、日常に寄り添う形で小規模自治体だからこそ可能な顔の見える関係性を生かした啓発が鍵と考えます。行政制度の狭間や、制度ではカバーしきれない「困りごと」に対応するため、支援者同士の緩やかな連携を通じて隙間を埋める“地域力”を養っていけたらいいなと考えながら支援を進めていきます。
このように、支援の網を拡げつつも、単に業務量を増やすのではなく、地域にある力を「見立て」「つなげ」「動かす」ことに重きを置き、小さな町だからこそできる丁寧で柔軟な支援の形を模索していきたいと考えています。
Ⅱ 子ども応援プラン(障害児支援利用計画)について
【利用者数】
120名(更新107名、新規13名)
【活動評価】
中学卒業後の進路支援として、在学中より生活介護や短期入所を行う事業所、地域生活支援センター等との連携を図り、早期からの移行支援を進めてきました。こうした取り組みを通じ、卒業後の生活の見通しを立て、本人やご家族の不安の軽減に努めてきたところです。高校卒業後の就労支援だけでなく、中退後の進路変更、18歳を超えての放課後等デイサービスの利用、留萌市など他市の児童発達支援事業所の併用など、児童・若者の進路はこれまでにない多様化が進んでおり、既存の相談支援体制だけでは十分に対応しきれない状況が見られます。
放課後等デイサービスから直接、当事業所に相談が持ち込まれるケースも増えており、従来のように役場を通じた一本化された申請経路だけではなく、支援に至る経緯も複雑化しています。また、送迎の可否によって支援先を選ばざるを得ない家庭も多く、特に就労中の保護者からは「働きながら必要な療育を続けたい」という切実な声が寄せられています。こうした現実からも、送迎を含めた包括的な支援体制の構築は、今や地域の喫緊の課題といえます。
さらに、虐待のリスクや複雑な家庭背景をもつ児童に対しては、個別のケースワークを超えた多機関連携が不可欠でありながら、福祉以外の機関(幼稚園、学校、子育て支援センターなど)との情報交換の機会をなかなか捻出できず、支援全体を見通した計画作成が困難となってきております。
当事業所では、個別支援にとどまらず、「サポートが必要な子どもの将来を考える会」の運営支援として留萌市の事業所見学や後見人制度の学習会なども行ってきましたが、基幹相談支援センターの体制が不安定な中で、実質的に中心的な役割を担わざるを得ない場面も増えてきています。中部地域のみならず、留萌南部地域からの支援依頼も見られ、初山別村のケースでは一時的にセルフプランの導入も検討いただくなど留萌管内全体として相談支援事業所の不足が深刻であることを肌で感じています。このような現状を踏まえ、今後は以下の取り組みを行政においてもご検討いただきたく、強く要望いたします。
地域全体で支援人材が不足している現状を受け、各自治体においても計画的な人材育成と配置支援を進めていただくことが不可欠です。
家庭環境や保護者の就労状況を踏まえた、送迎・受け入れ・療育の一体的な支援モデルの構築、自治体の垣根を超えた送迎を含む包括的な児童支援体制の整備が望まれます。
Ⅲ 相談全般について
【利用者数】
4名
【活動評価】
計画相談以外で、当事者(障害者雇用で働いている方、過去支援した障害者の保護者で精神疾患のある方、退職し実家に帰省して生活している知的障害者、精神疾患の疑いのある引きこもりの方)やその家族からの相談を受け対応しています。サービス等利用計画作成(サービスの利用)がない困難ケースについては、地域の保健師等と連携して支援をしています。この地域から転出を希望している場合、転出先機関にも連絡し支援要請をするなどの対応をとっています。
地域においては、児童・成人問わず、支援の手厚さを要するケースが一件でも発生すると、他の支援業務全体に大きな影響が及び、相談支援の動きが停滞してしまうという課題を抱えています。こうした状況においても、医療機関や保健師、放課後等デイサービス等と連携し、必要な情報提供や対応協力を行いながら、相談支援専門員として関係機関とのつながりを丁寧に築いてきました。
とはいえ、個別ケースの対応に追われるあまり、必要な手続きやサービス調整が滞ることのないよう、業務フローや連携体制の工夫・改善が求められています。今後は、支援の質を落とさず、地域全体の動きを止めないためにも、支援の優先順位付けや役割の明確化、また行政との柔軟な連携体制が必要と考えています。
また、地域課題を共有し、必要な支援のあり方をともに検討・構築していく場として、自立支援協議会の機能は極めて重要です。次年度は定期的な開催が見込まれることから、当事業所としても積極的に協議に参加し、障害のある方々への支援体制の充実に向けて議論を深めていきたいと思っています。
限られた人員体制の中ではありますが、相談支援専門員として、地域福祉の担い手の一人としての責任を感じつつも、無理なく持続可能なかたちで、できる範囲から地域全体に貢献できるよう努めていきたいと考えています。今後も関係機関と連携しながら、個別支援と仕組みづくりの両面に丁寧に取り組んでいきます。
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